信頼を築くシフト調整法【優秀店長インタビュー】
日本で一番、従業員満足度の高い店舗を決めるイベント『働きたい店舗アワード』※において最高ランクの2スターを獲得した、「ダイニングバー・HONEBUTOムーチョ」。店長の黒田氏にお話を伺いました。
※『働きたい店舗アワード』では、tenpoket チームアンケートの結果が特に優れていた店舗を年に一度表彰しています。
―リーダーとしての信頼の有無を聞く項目が高スコアです(図)。どのようなことを意識していますか?
特に意識しているのは、シフトの公平性、納得感です。うちのお店は8名中5名がアルバイト。フリーターでバイト掛け持ちのスタッフもいる。シフト権があるということはスタッフの生活を変えてしまうこともある。労務改善は1番下から、自分が1番最後だと思っています。
シフトの“休み希望”はほぼ100%通しています。シフトの融通はどのお店よりも確実に効くと思います。
月に2~3日はシフト希望人数が足りなくなる。その時は、出来る限り全員を集めて調整します。「あいつは他のバイトが入っているという理由だからしょうがない」とか、スタッフ同士がお互いの事情を理解しながら調整できるので納得感があると思います。
調整した後のシフトは絶対に守ります。病欠で1人休みなんてことになっても基本的には社員で何とかします。
また、作り上げたシフトは3回ぐらいミスがないか見直しますが、ミスゼロにはできない。だから完成したら、「自分が出した希望とあってる? 確認しておいて」と伝えます。その時に何も言ってこなくて、シフト3日前とかに「この日休みます」と言ってきたら、「だからお前確認せいって言うたやないか。代わりの人は自分で見つけろよ。その代わり休み希望は絶対に通しているんだから」と伝えます。
休み希望を守るのはシフト権のある自分の責任、決まったシフトを守るのはスタッフの責任。自分が守るから、スタッフにも言えます。「こっちもシフト守ってるやん、それを反故にするのは、お前がおかしいよ」って、規律を大切にします。
シフトに協力してくれる人をえこひいきすることで、スタッフのお店視点を育成することも大切にしています。
例えば、シフト希望を3人削らないといけない。その時、「この人は休み希望の時でも、人がおらん時は都合をつけようとしてくれるだろ。自分の予定削って。お前は絶対出えへん。それを同等に扱ったら不公平やん。お店はどっちが助かってると思う?」といった理由を絶対に言います。
仕事ができても、お店が助けて欲しい時に助けてくれない人は結局お客様のことを考えていない。たぶん良い接客できないです。だから、スタッフを育てるという意味でも、「お店(シフト)のことを考えてくれる人は優先」のえこひいきは必要だと思っています。
物事を決めるときは何事も公平性や論理性を重視しています。シフトであれば、なぜこのシフトになっているか、その理由を聞いて全員が納得できるか。時給をあげる場合も、それに対してみんなに説明できるような材料を必ず用意します。
意見が強い人や店長が決めるのではなく、誰が見てもそれは正しいという判断をするようにしています。そして、その決定に納得できない人がいれば、納得してもらうまで説明をする努力をする。それがあれば、スタッフはついてきてくれると思っています。
◆編集後記◆
アルバイトスタッフにとって「シフト決め」はとても大切なこと。フリーターでバイトを掛け持ちしている、学生でテストがあるなど、彼らの生活に関わることだからです。そのシフトに関して黒田店長のポイントが2つ。
1.シフトの休み希望はほぼ100%通す。 2.お店のことを考えてシフト希望を提示してくれるスタッフは優先する。自分優先のスタッフはお客様のことも考えられないから。このことはスタッフにもしっかり伝える。 |
この2点を守ることで、お店視点・お客様視点を持ったスタッフが育ち、スタッフの希望を聞いてもシフト組みはしやすくなるでしょう。そして、スタッフのシフト満足度も高まる!実際、HONEBUTOムーチョのtenpoket チームアンケートでは、下記のような項目も高いスコアとなっています。全てのお店の方が真似できる方法ではないかもしれませんが、「これはいい!」と感じたポイントから参考にしてみてください。
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※掲載情報は2017年9月現在のものです。
※取材・記事:株式会社MS&Consultig 砺波敬之