初めての店長業務「できること」「できないこと」をはっきりさせる【優秀店長インタビュー】
人員不足のFareセンター北店に“店長経験ゼロ”で就任した佐藤店長。その後、わずか1年で『働きたい店舗アワード2スター』※を受賞、トップクラスの従業員満足度を誇る店舗に立て直すという快挙を成し遂げました。その取り組みをお伺いしました。
※『働きたい店舗アワード』では、tenpoket チームアンケートの結果が特に優れていた店舗を年に一度表彰しています。
背景
Fareセンター北店は色々なタイミングが重なり、スタッフ数人が同時期に退職するという局面に立たされました。このお店を引き継いだのが佐藤店長。
佐藤店長はファーレ全店でも個人売上はトップクラス。その高い技術力・顧客対応力をスタッフに背中で見せることができるという強みを持っている反面、店長を担当するのは初めて。
・スタイリストとしての実績・能力は圧倒的 ・店長としては初心者 ・人員不足の店舗に店長就任 |
このような条件の中で、どのように従業員満足度を業界トップクラスまで高めていったのか、その取り組みをお伺いしました。
――店長に就任して、まず行ったことは何ですか?
個人売上は1番じゃなきゃいけないという思いは持っていましたがリーダーとしては初心者。
店長就任の話も最初は断っていたぐらい……、自信が全くない状態からのスタートだったので、“スタッフをサポートする店長”でありたいと考えました。
そこで、ミーティングを開催しました。「私にはそこまでの能力はない。みんなで力を合わせて運営していきたい」という思いを伝えました。
――みんなに頼っていらっしゃる中でも、リーダーに対する「信頼」などの項目が軒並み高得点ですね。どのようなことを意識されていますか?
オンとオフの切り替えは大切にしています。
お客様がいらっしゃる営業時間内はオン。営業時間外でスタッフだけの時間はオフ。オフのときは自由な雰囲気で構わないから、オンの時はやるべきことをきちんとやろう、と常々言っています。
オンの時は私自身も厳しく指導します。特に、お客様第一であるかは重要視しています。お店のあり方としても、スタッフの成長のためにも必要なことだと思うので、気になる事があったら「これではお客様に対する接し方としてダメじゃない?」とか「自分がお客様の立場だったらどう思う?」と、厳しく指導するようにしています。その点に関しては絶対に妥協しないようにしています。
――「リーダーシップ」カテゴリの中では他にも「ビジョン明示」「ビジョンへの共感」のスコアがとても高いですね。
「リーダーシップ」カテゴリの中では他にも「ビジョン明示」「ビジョンへの共感」のスコアがとても高いですね。
根拠がないと納得感のある議論にならないと思ったので、年代別客数比率などの数字を準備して、データをもとにみんなで考えました。
当店にはどのようなお客様が多いのか、そのために何が求められるかを「見える化」して貼り出したところ、具体的に何を頑張ればいいのかが明確になったと言ってくれているスタッフもいます。
店長になって1年は目の前にあることをやるのに必死でした。やるべきことも明確化してきたし、余裕がやっと出てきた部分もあるので、一歩引いて見守ったり、任せたり、まだまだ考えながら勉強しながらですが、試行錯誤でやっています。
◆編集後記◆
佐藤店長は、スタイリスト(プレイヤー)としてはトップクラス。その強みを活かして、お客様対応などの指導では自分が持っているもの全てをメンバーに伝えています。結果、リーダーとしての信頼を獲得。
半面、店長としては初心者であることをスタッフに素直に伝え、一緒に考えてもらったり、手伝ってもらうスタンスで乗り切っています。
佐藤店長のすごさは自分が「できること」「できないこと」をはっきりさせ、「できないこと」は割り切ってスタッフに頼っている点。
「自分ができないこと」を冷静に、素直に見つめる。初めて店長になったら、こんなことから始めてみるといいのかもしれません。
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※掲載情報は2017年9月現在のものです。
※取材・記事:株式会社MS&Consultig 児玉彩子