スタッフのコンディションがお客様満足の土台【優秀店長インタビュー】
「Fare北久里浜店」、店長の宮城さん。店長を務めるのは初めて。ところが、店長に就任してからわずか3年のうちに『働きたい店舗アワード2スター』※を受賞、トップクラスの従業員満足度のお店を創りあげました。その秘密にせまります。
※『働きたい店舗アワード』では、tenpoket チームアンケートの結果が特に優れていた店舗を年に一度表彰しています。
――Fare北久里浜店の店長になられて3年、圧倒的な従業員満足度を実現されました。店長に就任して最初に取り組んだことは何ですか?
最初は「スタッフのコンディションづくり」に取り組みました。繁忙期の12月は沢山のリピーターをつくれる大切な時期ですが、そんな時にスタッフの顔に浮かんでいたのは「疲れ」でした。「あ、これはもうダメだ」と思って。スタッフのコンディションが整っていないとパフォーマンスも高まりません。店長就任当初は、次のようなことから取り組みました。
店長になった時、営業は年中無休でした。スタッフの顔に浮かんだ「疲れ」をみて会社に「火曜休みにしてください」と提案をしたのが最初です。当初、会社側からはすごくもったいないと言われたんですね。火曜日を定休にすれば1カ月で4日~5日間お店を閉めなくてはならない、すると売上も下がってしまいますから。
でも、私は火曜日を定休にし、スタッフのコンディションが改善することで売上も必ず改善するという思いがありました。最終的には、もともと福利厚生をすごく見てくれる会社という点もあり、火曜日定休の提案が無事に通ったのです。
結果、売上目標達成率を落とすことなく、そして、スタッフが辞めることなくやってこれました。スタッフの表情が明るくなったことが何より嬉しかったです。勇気を出して提案して良かったと思います。
スタッフのコンディション改善の次に取り組んだのが、「スタッフ同士の関心を深めること」です。スタッフがお互いに興味を持たない風土では、お客様に興味を持つ風土には到底ならないという考えがあったからです。例えば、次のようなことをしました。
サンクスカードで見える化 他のスタッフに伝えたい「ありがとうの気持ち」を、名前とメッセージを書いて壁に貼り出しています。こんなことでありがとうと言ってくれているんだ、こんなことで喜んでくれているんだというのを見える化すると、やはり自信につながりますよね。 |
おでかけ企画の実施 地方出身者が多くて首都圏観光にみんなが興味を持っていたからではあるのですが、ハトバスツアーとか、そんなちょっとした観光をして帰ってくる「お休みの日に遊ぶ企画」をスタッフに立ててもらいました。仕事外で色々な会話ができたことは、営業中の会話を増やしたり、スタッフ同士の関係を深めるのに一役買ったと思います。 |
朝終礼の提案タイム 朝終礼で行っている「今日のお客様にできることの提案タイム」は、「仲間のために自分ができることを提案する時間」と同じことです。この時間を継続して続けていることもスタッフ同士の関係を深める役割をしていると思います。 |
→詳細記事:個人戦から店舗戦へ意識のシフトを促す「今日の予約客様への提案タイム」
3年前の店長就任当初は、こういった「スタッフの心身のコンディションを整えること」「スタッフ同士の関係を深めること」から取り組みをスタートしましたが、先日あるスタッフから、「アシスタントの子たちが勉強会続きで夜も遅くて朝も早くて疲れているようです。少し気になります」という報告があり、アシスタントの朝練をしばらくやめたことがありました。他のスタッフのことを気にかけ私に提案してくれる、そんなスタッフが育っていることに感動しました。
Fareグループの数ある店舗の中で、自分のお店のスタッフが1番だと思っています。スタッフに「この会社に入ってよかった」「美容師をやり続けたい」と思ってもらえて、美容師として輝いてもらいたいというのが1番の願いです。
◆編集後記◆
「心身のコンディション」「人間関係」。スタッフのパフォーマンスが高まる理由にも、崩れる理由にもなります。
店長就任時、まず「攻める取り組み」ではなく「土台を固める取り組み」から始め、スタッフのパフォーマンスを高めるとともに、店長としての信頼も獲得されていった宮城店長。
“急がば回れ”、そんな言葉が本当なのかもしれません。
◆関連記事◆
目標を決めるのはスタッフ、目標実現をサポートするのが店長(美容室店長)
初めての店長業務「できること」「できないこと」をはっきりさせる(美容室店長)
「個人戦」から「店舗戦」へスタッフの意識を変える(美容室店長)
※掲載情報は2017年8月現在のものです。
※取材・記事:株式会社MS&Consultig児玉彩子