目標を決めるのはスタッフ、目標実現をサポートするのが店長【優秀店長インタビュー】
人員不足のFareセンター北店に“店長経験ゼロ”で就任した佐藤店長。その後、わずか1年で『働きたい店舗アワード2スター』※を受賞、トップクラスの従業員満足度を誇る店舗に立て直すという快挙を成し遂げました。その取り組みをお伺いしました。
※『働きたい店舗アワード』では、tenpoket チームアンケートの結果が特に優れていた店舗を年に一度表彰しています。
――「達成感」のスコアが非常に高いです。どのようなことを行っていますか?
「月間目標シート」を毎月書いてもらっています。
シートには今月を振り返って「良かった点」「悪かった点」を記入する欄もあって、毎月の記入の変化を見ると、その子がやりがいを感じながら仕事をできているかが何となくわかります。
また、目標だけでなく「楽しみなこと」を書く欄も設けています。「ドラえもんミュージアム(注:川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム)」とか「ライブ」なんてことを書いてくれます。こういう楽しみなこともないと頑張れないと思うので!
最初のうちは目標を書いても忙しさの中で忘れてしまっていました。そこで、シートをスタッフルームに貼り出して、“他のスタッフに見られている”という緊張感を作るようにしました。「見える化」「見られている環境づくり」で意識が続くようになりました。
私も「今月のカットモデルは何人になったの?」とか「これどうなった?」と、ちょいちょい聞くようにしています。
目標を決めるのはスタッフ、私はその目標実現をサポートする役割。ですから、店長になった時、個人面談をして一人ひとりが目指す方向性を確認しました。
美容の仕事は幅広いので、同じ美容師という仕事に携わっていても、実はやりたい方向性はスタッフによって違うんです。向上心の強さももちろん違います。美容師という仕事にめちゃくちゃ熱い想いでやっている子もいれば、何となくやっている……という子もいます。
そうすると、指導する際も響く言い方がスタッフによって違ってきます。その点を最初に把握できたのは良かったです。また、面談では「私への要望」も話してもらって、自分のスタンスを決める参考にしました。
目標設定やトレーニングのスケジュール組みは、自主性に任せていますが、モチベーションが下がっているようであれば声をかけるようにしています。
スタッフの状態は、表情や行動を見ていれば何となく分かりますし、シートの記入状況の変化からも分かります。毎月きちんと書いている人が突然、あっさりとしか書いてこなかったりすると、モチベーションが下がったのか、あるいは何かあったのか、ということに気づきます。
モチベーションが下がっているなと感じたら、「最近、大丈夫?」「ちょっと雰囲気暗いね」と直接声をかけたり、他のスタッフに聞いてみたり、やり方は様々ですが、“今何にぶつかっているのか”を把握するようにしています。
その上で、そのスタッフの練習を見るようにしたり、敢えて急かさず自分のペースでやっていいよと伝えたり、出来る限りはサポートをするように努めています。
――「月間目標シート」に取り組むことで、どのような手ごたえを感じていますか?
人員も不足気味なため、今までは前年の数値を超えることも大変でしたが、昨年対比を安定的に超えられるようになってきました。売上が安定してきたとはいえ、本当はもっと高い目標を設定しているので、まだまだ満足はしていません。当店の最大の課題は、「継続力」と「実行力」。みんなで話して決めたことを、継続的にきちんと実行していくことが次の挑戦です。
◆編集後記◆
「個人目標管理シート」を使う場合、大切なのは“目標に対するスタッフ一人ひとりのやる気”。これがないと書いて終わりになってしまいます。
佐藤店長は、「目標を決めるのはスタッフ」「目標実現をサポートするのが店長」と明確に区分けされ、スタッフの目標に対するやる気を高めています。
結果、tenpoket チームアンケートで、「達成感」のスコアは69.8、佐藤店長のリーダーとしての「信頼」のスコアは63.5と圧倒的な高さを実現されています。
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※掲載情報は2017年9月現在のものです。
※取材・記事:株式会社MS&Consultig 児玉彩子