個人戦から店舗戦へスタッフの意識を変える【優秀店長インタビュー】
「Fare北久里浜店」、店長の宮城さん。店長を務めるのは初めて。ところが、店長に就任してからわずか3年のうちに『働きたい店舗アワード2スター』※を受賞、トップクラスの従業員満足度のお店をつくり上げました。その秘密にせまります。
※『働きたい店舗アワード』では、tenpoket チームアンケートの結果が特に優れていた店舗を年に一度表彰しています。
――店舗経営で一番大事にしていることは?
「すべてのお客様が皆のお客様」の意識で行動してもらうことです。売上も変わります。
スタイリストは、自分を指名してくれるお客様からの売上が給与へ影響するため「自分のお客様は自分のお客様」「他のスタッフのお客様は他のスタッフのお客様」という傾向になりがちです。でも、それだと店舗売上は最大化しないんです。結果、個人の売上も最大にはならない。個人として戦うよりも、組織・店舗として勝負する考えにシフトしてもらう必要があります。
――「すべてのお客様が皆のお客様」の考え方を浸透するために取り組んだことは?
「今日予約が入っているお客様に対してできること」の意見出しを朝終礼で行っています。今日ご来店される一人ひとりのお客様への興味を引き出すことから始まると考えました。
意見出しの流れは次のとおりです。
1.各お客様担当が「お客様の状態」を共有 2.各々ができることを提案 |
自分のお客様でも、自分以外のお客様でも、何をサポートできるかを積極的に提案してもらうようにしています。例えば、こんな提案が出てきます。
・妊婦のお客様→お茶は温かいものを用意しよう ・ご年配のお客様→歩く負担が少なくなるようシャンプー台の近くの席にご案内しよう |
「担当でないお客様にも興味を持って」と号令をかけるだけでは意識を変えるのには限界があります。
でも、「今日いらっしゃる〇〇様に対して何ができるか」であれば、全員が興味を持って考えることができます。また、実際にその日の営業中に行動に移すことになるので、全てのお客様を意識することの重要性が理屈抜きでわかります。
そして終礼時に、今日ご来店のお客様への対応は実際にどうだったかを、もっとできたことはなかったかを、みんなで振り返ります。
ちょっとした方法ですが、月間で約150名のお客様がご来店されるので、毎月150回もこの提案トレーニングを繰り返すことになります。この繰り返しによって、「全てのお客様に対して自分だったらこうしよう」という発想力がスタッフについてきたなと感じています(図)。
◆編集後記◆
tenpoket チームアンケートで「お客様への思い」が圧倒的に高い店舗に取材に伺うと、“お客様対応リアルイメージトレーニング”をしている店舗に出会うことが多々あります。
「〇〇様がいらっしゃったら、△△をして…」と、実際の対応を詳細にイメージするトレーニング方法です。
基本的な対応はマニュアルを使った教育で行うことができます。でも、その先、お客様にあわせたケースバイケースの対応力を磨くには別の練習が必要。その時に、この“お客様対応リアルイメージトレーニング”が効果を発揮します。
お客様にあわせたケースバイケースの対応力を磨きたい…そんな店舗の方はぜひ参考にしてみて下さい。
※掲載されている情報は2017年8月現在のものです。
※取材・記事:株式会社MS&Consultig児玉彩子
◆宮城店長が店長就任直後に取り組んだこと◆