お客様目線を育てる指導法【優秀店長インタビュー】
お客様目線に立って仕事をすると、お客様からのプラスの反応が返ってくる。すると、仕事が楽しくなる。サービス業の醍醐味ですが、この楽しさを教えるのは意外と難しい!従業員満足度の高い店舗を決めるイベント『働きたい店舗アワード※』において最高ランクの2スター(上位5%)を獲得した「ごっつい池袋店」の寺田店長にその取り組みをお伺いしました。
※『働きたい店舗アワード』では、tenpoket チームアンケートの結果が特に優れていた店舗を年に一度表彰しています。
――従業員満足度調査では「お客様への思い」が68.0と圧倒的なスコアです(図)。どのようなことに取り組んでいますか?
「自分が背中を見せる」、それが第一ですが、次のようなスタッフに対するアプローチ方法も影響しているかと思います。
お客様に「料理の味はどうですか? 美味しかったですか?」など話しかけに行くようにさせています。うちのお店では、お客様と一緒におしゃべりして、一緒に笑ってが常日頃です。
顧客接点を増やすことは、スタッフが仕事のやりがいに気づくきっかけにもなるし、お客様満足度も高まる方法だと信じています。色々なことの土台になると思っています。結果、数字がついてきてくれていて嬉しいです。就任当時は売上目標は未達成の状態でしたが、今は昨年対比115%を達成できています。
その日の営業を全員で思い返しながら、「良かった点」「改善点」について意見を出し合い翌日からの改善につなげる時間をつくっています。
この時、「料理提供遅れ5件でした」といったようなざっくりした振り返りではなく、みんなで具体的なシーンを思い返してイメージしながら振り返りをしています。例えば、「18時過ぎにあの席に座ったお客様への料理提供が遅れた」ことに対して、「あそこは俺がフォローに入るべきだった」「いやその前のタイミングで自分がこういう風に言っておくべきだった」といった様に、みんなで詳細にシーンを思い返しながら振り返りをします。そこまで振り返ることで、スタッフは行動を変えることができます。
お客様のことをイメージする、これを何度も繰り返していくことで、「お客様の楽しさが自分たちの楽しさ」という感覚が強くなっていったと思います。みんな本気で振り返りをしてくれていますし、この時間は楽しいです、すごく本当に。
→詳細記事:お客様目線を磨く❝営業後の振り返り❞
営業中、それがどんな状態でも、自分が追われている状態にならない、スタッフの動きから目を離さない状態をつくることを大切にしています。そして、スタッフの動きを見て営業中に指導する時は、「命令」ではなく「お客様目線で考えられる伝え方」を意識しています。例えば、「〇〇して」「〇〇のやり方がいいよ」ではなく、「自分がお客様だったらどう感じる?」「こうされたら嫌だよね?」といった言い方を常にしています。本当にただただ、こういったことの積み重ねです。
◆編集後記◆
寺田店長の取り組みで印象に残ったのは、「顧客接点を増やす」「スタッフにお客様に話しかけに行かせる」という取り組みを、決断力を持って行っていらっしゃったことです。
「お客様の笑顔が私たちの喜び。その喜びがまたお客様に対するエネルギーになる」、この好循環をつくり上げると、顧客満足度は高まっていきます。でも、スタッフにこの考え方を浸透させるのは意外に難しい!
目標数字と現在の数字がわかれば、アルバイトスタッフでも自分達でジャッジできます。今ではスタッフが自主的に「今何件だよ、あと何件で目標達成だよ」とか「Aちゃんは今日何件ね、Bちゃんは何件ね」と取りまとめや管理までやってくれるようになりました。
tenpoket チームアンケートで「お客様への思い」が圧倒的に高い店舗にインタビューに伺うと、高い確率で「スタッフがお客様から忘れられないような“ありがとう”“笑顔”をもらえる成功体験をさせてあげる」ことに注力している店長に出会います。
スタッフにお客様目線を持って仕事をしてほしかったら、一番の近道は『成功体験』なのかもしれません。
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※掲載情報は2017年8月現在のものです。
※取材・記事:株式会社MS&Consultig児玉彩子