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成果につながるロープレ運用法【サービスマネージャー遠山氏の教育法(1/4)】

「1日で1組のお客様が入るかどうか」だったフレンチレストランを、店長として月商1400万円の繁盛店へと立て直した経験を持つ、遠山氏。飲食店を展開する株式会社プレジャーカンパニーのサービスマネージャーとして、店舗スタッフの教育に携わられている同氏に、サービス教育のポイントについてお話を伺った(取材:株式会社MS&Consulting染谷)。


――ロープレを積極的に行っていると伺いましたが、どんな進め方をされていますか?

ロープレは、店のオープン前の時間を使って、月に1回以上取り組んでもらっています。ロープレで5分、撮影した動画を見るのに5分、フィードバックが5分で、合計15分くらいのイメージです。全員がウェイター役をやれなくても大丈夫です。お客様役をやるだけでも効果はありますし、他のスタッフが行っているのを見るだけでも違います。



進め方では、次のような工夫をしています。


1.お題決めで参加意識を高める

まず、テーマにそったお題を、みんなが考えて1人1枚紙に書いて箱に入れてもらいます。例えば「入店対応」がテーマなら、お題は「初来店のお客様への入店対応」「サラリーマンのお客様への入店対応」などです。ウェイター役のスタッフはくじ引き形式でお題を選びます。こうすることで「やらされている感」がなくなり、この後のロープレへの参加意識が高まります。


2.動画を撮影して、自分を客観的に見る視点を育てる

ロープレ中は必ず動画を撮っておき、ロープレが終わった後はこの動画を見ます。ロープレフィードバック時に起こりがちな問題は「本人が指摘事項にピンと来ない」ということです。例えば「笑顔がないね」と言っても、「え? 笑顔出てませんでした?」とか。ですから、動画を撮っておいて、それをみんなで見る。所作、表情、言葉遣い、サービスのディテールまで事実として振り返ることができるので、自分を客観的に見る視点が育ちます。



3.全員でフィードバック

ロープレの動画を見た後、みんなでフィードバックをします。フィードバックの回数を積み重ねること、また、他の人のフィードバックを聴くことで、サービスに対する分析力が飛躍的に上がります。

まず、フィードバックはウェイター役をした本人から「輝きポイント(良かった点)」と「伸びしろポイント(改善点)」を挙げてもらいます。本人の自己評価からスタートする理由は、他の人のコメントからだと、気を使ってしまって正直な感想が言えなかったり、逆にズバッと言われて本人が嫌な思いや反発を感じたりすることがないようにという、双方への配慮です。先に本人が言うことで、みんなも意見を言いやすくなりますし、本人も意見を聴く体勢になれるので、必ず自己評価から始めるようにしています。

またフィードバックの内容を考える際には「ロープレ評価表(下図1)」を使って、視点がぶれないようにしています。視点も何もなしの自由評価だと、フィードバック者のスキルに左右されてしまいますし、あれもこれもと言われて「結局、何を改善すれば良いの?」となってしまいかねませんので、フィードバックのカテゴリはしっかりとこちらがハンドリングして、目指すべき方向性を示せるようにしています。

図1:ロープレ評価表(提供資料を基に当社で編集)



◆遠山氏の教育法 他の記事を読む◆

スタッフのサービス力を見える化する方法(2/4)

教育効果の高いコンテスト運用法(3/4)

サービス教育と顧客満足度調査(4/4)



遠山啓之(とおやまひろゆき)氏
遠山啓之(とおやまひろゆき)氏
株式会社LEAD LIVE COMPANY 取締役副社長、日本フードビジネスコンサルティング協会 理事。 2000年、株式会社グローバルダイニング入社。複数店の店長を経験したのち、高いサービス構築力を見込まれ1日で1組のお客様が入るかどうかだったフレンチレストランの店長に就任、月商1400万円の繁盛店へと立て直す。2013年、株式会社プレジャーカンパニー入社。サービスマネージャーとして、現場勤務とともに、接客の理論化、教育の仕方の教育、組織づくりなどを担当。株式会社プレジャーカンパニーの教育担当としての活動は続けながら、2020年11月、株式会社LEAD LIVE COMPANYの創業メンバーとなり活躍の幅を広げている。著書に「サービスのチカラ 店長マネジメント編」「サービスのチカラ 今からできる!笑顔のアクション接客編」がある。

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