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《ベーカリーセミナー》コロナ禍でも売上を維持・拡大するために行うべきこと

『コロナ禍でも売上を維持・拡大するために行うべきこと【ベーカリー編】』と題してセミナーを開催いたしました。ベーカリー利用者の意識の変化(ネットリサーチ結果)も紹介しています。(開催:2020年9月3日、講師:MS&Consulting   徳野 朱音)



「衛生対策の徹底度」がベーカリー選びのポイントに浮上


図1は非常事態宣言の前後で消費者のベーカリー選びのポイントがどのように変化したかを示したものです。非常事態宣言後のトップ3は、①味、②自宅近くの立地、③衛生対策となりました。

非常事態宣言前と順位が変わらなかったは、①味、②自宅近くの立地です。引き続き、『味満足度を高めること』『自宅近くのお客様に対するアプローチ』が重要なことは変わりがなさそうです。

ところが、③衛生対策については順位が5位から3位に浮上。ベーカリー選びの際に衛生対策を重視している人数はおおよそ「4人に1人」から「2人に1人」へと大幅に高まっていることがわかります。新型コロナの影響によりお客様に選ばれるためには「衛生対策」が今まで以上に重要になってきていることがわかります。


<図1>ベーカリー選びのポイント


お客様はどのような衛生対策を重視しているのか

では、お客様はどのような衛生対策を重視しているのでしょうか?感染症対策(新型コロナ対策)に的を絞って調査しました。『実施していないと不安に感じる対策』を図2に、『実施していると好印象になる対策』を図3に示しました。自社の感染症対策を考える際の参考にして下さい。


<図2>実施していないと不安と感じる対策


<図3>実施していなくても不安には思わないが、実施していると好印象と感じる対策


来店客数を維持するために「感染症対策」と「味のPR」を両立させる

さて、ここまで「衛生対策」について言及してきましたが、来店客数を維持するためにはお客様がベーカリーを選ぶ際に最も重視している「味」についてPRしていく必要があります。コロナ禍で試食ができなくなった現在、どのような打ち手が考えられるでしょうか?感染症対策と味のPRを上手く両立させた、参考になる取り組み事例を2つ紹介いたします。


事例1:味の品質を守るために全ての商品を個包装にはしない、また、そのことをお客様に伝える
一般的な感染対策である「アルコール消毒の設置」「換気」「マスク着用」に加えて、「トレイ消毒済みのPOPの掲示」「パンの個包装」を行っています。ただし、品質を担保するために、個包装しても味が落ちないパン・味に影響するパンを分け、一部の商品はあえて個包装せずに販売しています。このことはPOPなどを通じて伝えているため、お客様には「自店の味へのこだわり」が伝わっていると思います。


事例2:「おすすめのパン」を声がけ

 お客様に挨拶した後、以前は試食のお声がけをしていましたが、コロナ禍の今は、代わりに「おすすめのパン」についてお声がけを行っています。そこから会話が発展し自店のパンの魅力をより詳しく伝えられるケースもあります。この取り組みを続けた結果、「美味しいから」とご来店してくださるお客様が増え、コロナ渦で来店頻度が減っても、買い溜めしてくださるお客様が増えてきています。


◆お客様がベーカリーを選ぶ時のポイント

<1位>味

<2位>自宅近くの立地

<3位>衛生対策

◆「衛生対策」がベーカリー選びのポイントに急浮上

◆客数維持のためには、感染症対策と味のPRを両立させ、味を目的に来店するお客様を増やす施策を続けることが重要


現場スタッフの生の声からわかること

ここからは視点を切替え、コロナ禍で不安に傾きがちなスタッフのケアについて考えます。以下は、最近行ったベーカリー業態の従業員満足度調査から特徴的なコメントを抜粋したものです。


①   お客様の来店数が減り、やる気の維持が難しい

コメント例:「いつもよりお客様が少なくモチベーションが保ちづらいです。何か実行すればお客様に来てもらえるといったイメージも持てず、日々の勤務が作業的になってしまいがちです。」

②   コロナウイルス感染拡大の収束が見えず辛い

コメント例:「最初は危機感を持って頑張っていたけれど、長期戦となり正直みんな疲れてきています。このまま頑張り続けるのが難しいです。」

③   本部の指示で実施している感染症対策が十分ではない

コメント例:「上層部の施策が現場に伝わってきていません。そのため、感染症対策が欠けている状況が続いています。」「休憩室がスタッフ数に対して狭すぎます。お客様目線の対策は勿論ですが、スタッフの感染症対策も取ってほしいです。」



上記3点が特徴的な点です。自社の現場に当てはまらないか振り返ってみてください。

ただ、上記はあくまで全体的な傾向、企業や店舗によってスタッフの心の状態は異なります。コロナ禍でスタッフが不安になりがちな現在は特にスタッフの状態について情報を集める必要があります。スタッフの心理状態に配慮することは、本部発信の施策の実行度を高めることにつながり、ひいてはコロナ禍で売上維持をする原動力になると考えます。



◆コロナ禍ならではのスタッフの心の揺れがある

・客数減少によるやりがい低下

・感染収束が見えない中でのやりがい持続の難しさ

・本部と現場の連携不足に対するいらだち

◆コロナ禍で不安に傾きがちなスタッフへの心のケアのためには、まず自社スタッフの心の状態を把握することが大事


まとめ

本セミナーでは、コロナ禍において売上を維持・拡大するための方策について、「お客様の視点からの提言」と「店舗スタッフの視点からの提言」の2つを紹介しました。今後の取り組みへの何がしかのヒントが見つかれば幸いです。

文:吉澤 優

コンサルタント 徳野朱音(とくのあかね)
コンサルタント 徳野朱音(とくのあかね)
株式会社MS&Consultingに入社後、ベーカリーや菓子等の食物販業界、化粧品業界を中心に顧客満足度・従業員満足度調査を切り口にしたコンサルティングを担当。ホスピタリティコーディネーターとして、ホスピタリティの啓発、普及に努め、研修やセミナーを行なっている。

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