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ドラッグストア経営者に聞く!コロナ禍だからこそ従業員満足度が重要。過去最高レベルのお客様満足度を獲得できた秘訣とは?

40年以上にわたり地域密着の調剤薬局・ドラッグストアとして店舗数を増やしてきた株式会社新生堂薬局。ドラッグストアとして唯一「第4回 働きたい店舗アワード」51店舗以上部門を受賞するなど、ドラッグストア業界において一線を画した成長を実現する同社が掲げる理念経営とは? 代表取締役社長兼CEO兼COO兼CHOの水田怜氏にお話を伺った。

※働きたい店舗アワードの概要・結果発表はこちら


ドラッグストアで唯一の受賞となりましたが、従業員満足度(ES)を高い水準で維持するためどのような取り組みをされていますか。

水田氏:私は、従業員にはやりがいを持って楽しく働いて欲しい、という思いを常に持っています。そのやりがいや楽しさを実現するために必要なのが、会社の理念・ビジョンを全員で共有するということです。弊社には、「健康なくらしのお手伝い」という1つの核となる理念があるのですが、その理念に基づいたその時々の目指すべきビジョンを掲げ、共有するということをここ10年ほど行ってきました。現在は、「新生堂薬局を地域一番のヘルスケアステーションにする」というビジョンを掲げ、私が自ら全従業員を対象とした研修を行っています。

株式会社新生堂薬局  代表取締役社長兼CEO兼COO兼CHO  水田 怜氏

株式会社新生堂薬局  代表取締役社長兼CEO兼COO兼CHO  水田 怜氏


理念・ビジョンを全従業員に共有するきっかけは何だったのでしょうか。

水田氏:2012年頃、経営が厳しく従業員の離職が増え続けていた時期がきっかけですね。当時いろいろな経営者の方の話を聞く機会があり、理念を掲げる経営というものがとても大切なのだと知りました。そこで、皆が1つの目標に向かうための理念に基づくビジョンとスピリットという行動指針を作成。その真意を伝えるスピリット研修をスタートしました。


全従業員にこの研修が行きわたった頃に離職者が圧倒的に減り始め、それに伴い業績も伸びています。採用も順調です。また、考え方だけでなく働く環境においても共感を得られるようにと、育休・産休や介護制度なども男女問わず利用できるように整備してきました。


このようにビジョンを語り、安心して働いてもらえる環境を作ったことが、経営にも大きなインパクトを与えたのだと確信しています。


スピリット研修の様子

スピリット研修の様子

ウィズコロナの中で行った従業員満足度調査「tenpoketチームアンケート」でもESが向上していて驚きました。

水田氏:とにかく従業員の安心を最優先に、仕組みづくりと周知にいろいろと奔走しました。緊急事態宣言下でもドラッグストアは営業自粛ができませんので、働くことに不安を覚える従業員も多いはずです。そこで、万が一感染した場合に用意している制度のこと、弊社オリジナルの基準をつくり濃厚接触被疑者に該当する場合のPCR検査費用は会社が補助することや、全従業員に対して特別慰労金を支給することなどを、感謝の気持ちとともに4回ほど、私が自ら全従業員へメッセージ動画を配信しました。


今回は、安心して働ける制度を整え、感謝の気持ちとともに社長である私の口から周知を行ったことや、お客様が安心して商品を購入できる環境を作るということは「地域一番のヘルスケアステーションにする」というビジョンに近づいているということなのだと繰り返し伝えたことが、ESの向上につながったのかもしれません。tenpoketチームアンケートで従業員の皆が会社への帰属意識を高いレベルで持っていると確認できたことは、とても良かったと思いますね。ESは組織の入れ替えや人員配置などに大きく関わってきますし、店長のリーダーシップを高めるためにも、この調査はとても意味があるものだと感じています。


従業員満足度調査「tenpoketチームアンケート」の前回比較

従業員満足度調査「tenpoketチームアンケート」の前回比較

※もともと業界平均(偏差値50)より高い状態から、社長のコロナ禍における方針共有により、さらにESが向上した。


新生堂薬局さまも利用している、従業員満足度調査「tenpoketチームアンケート」の資料ダウンロードはこちら>>


顧客満足度調査「ミステリーショッピングリサーチ」(以下、MSR)では、緊急事態宣言明けの調査で過去最高レベルの顧客満足度(CS)を獲得されていました。

水田氏:店頭での感染拡大防止対策を徹底し、お客様に少しでも安心して来ていただけるようにという取り組みはもちろん、接客は今まで以上に積極的にやるという他店とは逆行する方針でやってきました。マスク不足の時期によく見られた、「マスクありません」という入り口の掲示も、我々は一切していません。


なぜかというと、お客様は物を買いに来ているわけではなく、課題を解決しに来ているから。マスクが欲しいのではなく、コロナに感染したくないのです。もちろん、お客様からマスクの有無を尋ねられることはとても多かったのですが、「マスクはありませんが、今日は消毒用アルコールが入荷しています」など、別の感染予防につながる商品をご提案することができます。

また、感染拡大防止対策と並行して地域経済活性化への取り組みも行いました。福岡市へのマスク寄贈、地域の飲食店業態の皆様に我々の店舗の軒先をご提供してテイクアウト販売をしていただくなどの取り組みを通して、多くの方から感謝の言葉をいただきました。店舗でお客様をお待ちするだけではなく、地域貢献にも積極的に取り組んだことがCSの向上に寄与しているとしたらうれしい限りです。


そういう意味でMSRの結果を閲覧できる無料スマホアプリ「MSナビ」は、ビジョンに対する行動確認と課題把握につながる店舗の通信簿のようなものです。各従業員のMSナビ閲覧率が非常に高いというのも、それぞれがビジョンをしっかり認識し、行動してくれていることがわかる重要なツールですね。


顧客満足度調査「ミステリーショッピングリサーチ」の推移

顧客満足度調査「ミステリーショッピングリサーチ」の推移

※ミステリーショッピングリサーチの総合得点平均が、2020年7月は同社で過去最高となった。


今後の展望をお聞かせください。

水田氏:「健康なくらしのお手伝い」という理念に基づき地域一番のヘルスケアステーションを作っていくこと。そして、「新生堂薬局で働きたい」と「働き続けたい」と思ってもらえるような会社にしていくことが、私がイメージしている未来です。人と人がつながり、安心して関わることができる、ドラッグストアとは一線を画した新しいヘルスケアステーションという業態を確立することが理想です。


私は日頃から、ピンチはチャンスではなく「チェンジ」だと皆に言っています。店舗のこと、本社の仕組みなど、この数ヶ月はかなり多くのチェンジをしました。ウィズコロナをチェンジの機会と捉え、今後もチャレンジし続けていきたいと思っています。


取材:渋谷行秀、編集:宮本紗和
※記載されている会社概要や肩書き、数値や固有名詞などは取材当時のものです。


コロナ禍でも過去最高レベルのお客様満足度を獲得した株式会社新生堂薬局さまでは、

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MS&Consulting 渋谷行秀
MS&Consulting 渋谷行秀
株式会社MS&Consulting 常務取締役。日本ホスピタリティ推進協会理事。「サービス・プロフィット・チェーン理論(顧客満足度・従業員満足度・業績の3点を連鎖して向上させる考え方)」の実践と啓蒙をライフワークとしている。同分野におけるこれまでのコンサルティング支援は300社以上の実績を持つ。

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