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外食企業のタッチパネル導入は顧客体験(CX)を高めるのか?【DXのミライ】

DX(デジタルトランスフォーメーション)の可能性に注目が集まっていますが、DXが顧客体験(CX)に及ぼす影響についての議論はまだ多くありません。そこで飲食店のDX化のひとつとして一般化してきた「タッチパネルオーダーシステム」を例にあげ"顧客の視点から見たDX"について91,534件の覆面調査結果をもとに考察しました。

【調査概要】
調査手法:覆面調査
調査数:91,534調査(導入前:64,611調査、導入後:26,923調査)
データ選定:タッチパネルオーダーシステムを導入する前後での調査結果がある外食企業26社、1,260店舗
対象期間:2014年7月~2022年5月


タッチパネルオーダーのCXへの影響① 不満評価が減る

タッチパネルオーダーシステムを導入する前後での覆面調査結果を比較したところ、お客様の「不満評価」が減っていることがわかりました【図1】。「混雑時でもオーダーテイクが遅くなることがない」「スタッフを介さないことでオーダーミスなどのエラーが減っている」といった点が影響していると考えられます。

【図1】不満比率の変化

図1タッチパネルオーダーシステム導入による顧客の不満比率の変化グラフ(DXとCXの相関分析)

ただし、全体的にはお客様の不満評価は減っていましたが、覆面調査レポートに寄せられたコメントを見ると、タッチパネルオーダーシステムの導入故に生まれた不満点が2点見られました。下記に紹介します。

1.お客様によっては「説明」がないと不満につながる

・年配者もいたので最初にタッチパネルの説明があれば親切だと思いました。
・「来店は初めてですか?」と聞かれ「初めてです」と答えましたが、「タッチパネルで注文をお願いします」としかご案内がなく、「何かご不明な点があればスタッフにお声がけください」などもう少し丁寧な案内があるとより安心して利用できたと思います。

2.液晶画面の「清潔感」が不足していると不満につながる

・タッチパネルの液晶部分が消毒の直後だったのかベタベタしていました。直に触れるものなのでもう少し丁寧に拭いて頂けると良いと思いました。

・タッチ面に汚れがついており、丁寧に清掃してくださると良かったです。


タッチパネルオーダーシステムの導入にあたっては

  1. 操作に不慣れな方のサポートが必要
  2. 液晶画面の「清掃の徹底」「清掃後のしずくの拭き取り」が大事

といった点に注意が必要そうです。


タッチパネルオーダーのCXへの影響② 印象に残るお店になるにはもう一手が必要

タッチパネル導入後は「不満評価」が減っている一方で、「感動評価(期待以上のサービスとの評価)」を獲得できた割合ほぼ横ばいでした【図2】。お客様の印象に残るお店となり顧客ロイヤリティを高めるためには、"システム導入によって削減したスタッフの時間を何に充てるのか”が重要となりそうです。

【図2】感動比率の変化
	図2タッチパネルオーダーシステム導入による顧客の感動比率の変化グラフ(DXとCXの相関分析)


実際、タッチパネル導入後に「感動評価」だったレポートに寄せられたお客様コメントを見ると、

  • 商品を提供する際に商品名を伝えてくれ好印象だった
  • 入店時にキッチンスタッフも大きな声で「いらっしゃいませ」と言ってくれとても気持ちが良かった

など、「オーダーテイク時以外の顧客接点(料理提供時やバッシング時など)で好印象を得ている」ということがわかります。タッチパネル導入を進める際は、オーダーテイク以外の顧客接点で「サービス品質の向上」を同時に進め、顧客体験価値を高めることが重要となりそうです。

DXツール導入時は顧客体験(CX)視点の確認も必要

ここまでは91,534件の覆面調査結果全体からの考察をお伝えしてきましたが、個別にレポートを確認すると、タッチパネル導入が、お客様の良い印象につながっているケースも、悪い印象につながっているケースもあることがわかります。

タッチパネルオーダーでの良い印象

・初めての利用であることを伝えると、スタッフさんからタッチパネル操作や料理についてわかりやすく丁寧な説明がありました。安心して利用することができました。
・タッチパネルでわからないことを質問すると、笑顔で気持ち良く応対してくれました。

タッチパネルオーダーでの悪い印象

・「注文はタッチパネルでお願いします」との説明だけですぐに立ち去られました。おすすめメニューの説明などもして欲しかったです。
・タッチパネルで注文ができる分、スタッフさんとの会話がなく少し寂しく感じました。「こちらの店舗にまた行きたい」とまではいかない印象となってしまいました。


タッチパネルオーダーシステムを含め新しいDXツールを導入した際は、自社の顧客層が感じている「顧客体験の変化」を確認し、良い印象を維持・向上させるためのサービス全体の戦略を再設計することが重要です。

以上『DX化が顧客体験(CX)に及ぼす影響』の結果を抜粋してお伝えしました。本調査の内容とその続き『DX化が従業員エンゲージメントに及ぼす影響』は下記よりダウンロードが可能です。


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◆執筆:株式会社MS&Consulting ブランディング推進部 児玉彩子、監修:株式会社MS&Consulting データ活用推進室 室長 錦織浩志

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