catch-img

顧客満足100%を誇るオルビスの「オンラインカウンセリング」の形とは? ~化粧品業界の可能性を探る~

Web会議サービス「Zoom」を利用したオンラインカウンセリングをいち早く導入して話題となったオルビス株式会社(化粧品販売)。同社、営業統括グループの大木佑真氏に「高い利用者満足度のポイント」や「顧客ニーズを掴むために行ったグループインタビュー」についてお話しを伺いました。(取材:(株)MS&Consulting砺波博之)


コロナ禍を機にスタートした「オンラインカウンセリング」

―オンラインカウンセリングを始めたのは何故ですか?

昨年2020年春の緊急事態宣言時に実店舗がすべて休業を余儀なくされたことがきっかけです。自宅待機となった美容部員の皆さんに仕事をしてもらえる環境をなんとか作りたいという想いで始めました。

スタートした2020年5月のカウンセリング数は月38件でしたが、想像以上に好評で、9か月後の2021年2月には月174件となりました。現在は専任チームを立ち上げ11名で対応しています。


月間カウンセリング数推移

グラフ:オルビス オンラインZoomカウンセリング 月間カウンセリング数


利用者アンケート「大変満足」「満足」の合計100%、高い満足度の秘密

―「オンラインカウンセリング」の流れを教えて下さい。

弊社ホームページなどから事前予約して下さったお客様に、Web会議サービス「Zoom」を使って、化粧品やお肌についてのカウンセリングをお客様と美容部員の1対1で30分実施しています。

「事前アンケート」の内容をベースに進めています。具体的な流れは以下の通りです。

①自己紹介を兼ねてアイスブレイク
②お悩みのヒアリング
③お悩みの原因を突き止める
④商品提案
⑤美容部員の手や顔で商品実演
⑥ご案内(サンプル提案、近隣店舗紹介など)
⑦サンキューメール

おかげさまで、利用者アンケートでは「満足」と「大変満足」の合計が100%という結果を頂いており、今後も力を入れていくべき事業だと捉えています。


―非常に高い満足度ですね。どのような工夫をされているのですか?

カウンセリング終了後に送る「サンキューメール」の満足度が非常に高いです。担当した美容部員が、アドバイスした内容やご紹介した商品の情報などを1通1通手打ちで書いて送っているのですが、この評価が高いです。1通1通考えた心のこもった内容だからだと思います。

「サンキューメール」事例

カウンセリング後のお礼メール事例

※頂いた資料を元に弊社編集(URLは架空です)


また、接客力の高い美容部員が対応しています。オンラインカウンセリング専任チームは在宅勤務・パート勤務が可能で、子育てと仕事の両立に悩み退職を考える時期のメンバーの受け皿となっている面があります。その時期のメンバーにはチーフ(店長)クラスのメンバーが多いので接客力が高いのです。

実店舗だと雰囲気・品揃えといった点も満足度に影響してきますが、オンラインカウンセリングは美容部員との1対1。美容部員の接客力が満足度に及ぼす影響度はとても大きいと感じています。

オルビス株式会社  インタビュー 営業統括グループ  大木佑真氏

お話しを伺った、オルビス株式会社  営業統括グループ  大木佑真氏



想定外のニーズに驚きの連続! 「お客様の声」が改善のヒントを生む

―導入から約9か月後の今年2月になって「グループインタビュー(株式会社MS&Consulting提供)」を実施されたのは何故ですか?

急ピッチで立上げたので全て仮説で進めていました。本格的なサービスに磨き上げていくためには「お客様の本当のニーズ」を知る必要があると判断しました。目標売上に達していなかったため、その解決策を探りたいという理由もありました。

※グループインタビュー:司会者が質問を行い、参加者に自由に発言をしてもらうことで、様々な意見・情報を収集する調査手法。顧客の声を直接集めることができる。


―グループインタビューを行った感想を聞かせて下さい。

驚きました。お客様のニーズが予想と大きく異なることが分かり、今後のオンラインカウンセリングのあり方を変えることにつながりました。「オンラインカウンセリングでやるべきことが見つかった」という感想です。

気づき1:購入意思が高くない
予約をしてまでカウンセリングを受けたい方。購入意思の高いお客様だと予測していたが、「SNSで見た新商品について教えてほしい」など購入モードになっていない‟気軽に相談したいお客様”が多数だと気づいた。
➡「購入提案」の一歩手前の「サンプル提案」をするように変更。
➡売上への導線を作るためライブコマースを検討中(ライブコマースで1対複数名の接客をした後、疑問点が残る場合には1対1のオンラインカウンセリングに誘導)。
気づき2:購買チャネルは無理に変えてはいけない
「普段ECサイトを利用しているお客様」と「実店舗を利用しているお客様」の両者とも、オンラインカウンセリングに満足でも商品購入は今後も普段利用している手段を選ぶということが判明。オンラインカウンセリングを利用したからといって、必ずしもECサイトへ導線があるとは限らないと分かった。
➡普段、
実店舗を利用されているお客様には「近隣店舗の紹介」するように変更。
気づき3:メール活用の可能性を発見
カウンセリング後に送る「サンキューメール」の満足度がとても高いと判明。驚いたことに「商品を買って下さいというアピールがもっとあっても良い」という意見もあった。
➡商品未購入の方には、2〜3ヶ月後にその後のお肌の調子などをお伺いする「リマインドメール」をスタート。

手探りで始めた挑戦に対して、グループインタビューという方法で調査・分析ができたことで、不安だったお客様のニーズを捉えることができました。お客様に直にご意見をお伺いできる機会はめったにないので、貴重な経験を積めました。


高い接客力を生かしてさらなるチャレンジを

―今後の展望をお聞かせください。
インタビューでも満足度の高かった弊社美容部員の接客力の高さを生かした事業に取り組みたいですね。例えば、「就活生のためのメイク講座」や「美容部員指名制度」などにも挑戦していきたいと思っています。より多くの方がオルビスに興味を持って頂く仕掛けとして、ぜひ実現させたいです。

オンライン接客調査―資料DLバナー


文責:株式会社MS&Consulting 児玉彩子
取材:2020年3月29日
※記載の数値や固有名詞などは取材当時のものです