オンライン接客の利用実態調査【2022年3月】
「オンライン接客」を提供する企業が増えてきました。お店に行かなくても専門知識を持ったスタッフに接客を受けられる、この新しいサービスをお客様はどう思っているのでしょうか?ネットリサーチを用いて調査しました(2022年2月28日~3月2日調査、1081回答)。
✔約6人に1人がオンライン接客を利用したことがある(全体の17.2%)
✔「30代」の利用率が最も高い
✔ オンライン接客に「興味がある人」は「利用したことがある人」の約2倍、市場拡大の可能性がある
✔ オンライン接客に「不満」を感じた人は全体の23%と高い
※調査日:2022年2月28日~3月2日、回答数:1081名、対象:一般消費者による顧客満足度調査「ミステリーショッピングリサーチ」のモニター会員
約6人に1人がオンライン接客を利用
「オンライン接客を受けたことがある」と回答した人は17.2%となりました。約6人に1人がオンライン接客を利用したことがあり、一定数のニーズがあると考えられます。
【図1】オンライン接客の利用率
「30代」の利用率が最も高い
年代別に見ると、30代の利用率が最も高く23.7%がオンライン接客を利用したことがあると回答しています。次いで利用率が高いのが40代で21.6%の利用率となりました。比べると、20代では18.3%、50代では13.5%と若干低い利用率となっています。
【図2】年代別 / オンライン接客の利用率
【図3】にサービス別のオンライン接客利用率をまとめました。最も利用率が高かったのが「保険の加入・見直しの相談」、次いで「銀行(投資信託・資産運用の相談)」となりました。両サービスとも30代の利用率が最も多く、年代別の利用率の差につながっています。
結婚や出産などライフイベントが多く両サービスを必要とする30代が、コロナ禍などの環境変化を背景にこれらの情報をオンライン経由で得ることが増えていると考えられます。
【図3】サービス別 / オンライン接客の利用率
一方、「ヨガ・ピラティス」や「化粧品」「アパレルショップ」といったオンラインサービスでは年代別の利用率に顕著な差は見られず、全年代を顧客にできる可能性があります。
オンライン接客に「興味がある人」は「利用したことがある人」の約2倍、市場拡大の可能性がある
さて、「オンライン接客を利用したことがある」と回答した人が17.2%だったのに対し、「今後受けてみたいオンライン接客サービスがある」と回答した人は41.0%となりました。実際に利用したことがある人は「10人に1.7人ほど」、興味がある人は「10人に4.1人ほど」と2倍以上の差があり、認知度や利用のしやすさを高めていくことで、オンライン接客利用者のすそ野は広がっていくと考えられます。
【図4】利用経験と興味の差
サービス別のオンライン接客の「利用経験」と「興味」の差は【図5】のとおりです。
【図5】サービス別 / 利用経験と興味の差
オンライン接客に「不満」を感じた人は全体の23%と高い
オンライン接客への満足度を聞くと、「一部不満があった」もしくは「非常に不満だった」と答えた人が全体の23%を占めました。満足度について”不満側”がおよそ4人に1人となっており、高い水準にあります。
【図6】オンライン接客に対する満足度
コメント回答に記載されていた、オンライン接客に「満足度だった理由」「不満だった理由」を下記に紹介します。
「期待以上だった/満足した」と回答した理由
・移動時間の短縮ができるから ・自宅でサービスを受けられる気軽さがあるから ・感染症に対する安心感があるから ・オンラインでも実店舗に劣らない良いサービスが受けられたから |
「一部不満/非常に不満」と回答した理由
・通信環境が悪い
ネット環境がたびたび途切れた、また、動画が反転していた(50代女性) 接続が上手く行かずに何度か手間取った(50代女性) ・オンラインに適した資料になっていなかった 画面が小さくて見づらかった(30代女性) 資料のどこを説明しているのか分かりづらい(20代男性) データの資料だったので後々手元に残る資料もその場でほしかった(40代男性) ・質問などのやり取りがしづらい 質問がしづらかった(40代女性)
直接ではないので雰囲気を肌で感じられず質問しにくい(30代女性) |
徐々に利用が広がりつつあるオンライン接客。お客様の目線に立った改善を重ね、オンライン接客への満足度とリピート率を高めていくことが、市場拡大のための1つの鍵となりそうです。
◆監修:株式会社MS&Consulting チーフデータサイエンティスト 錦織浩志