『アパレルECサイト』に対する消費者意識の変化 ~コロナ禍の影響を考察~
『アパレルEC市場』は右肩上がりで成長してきましたが、コロナ禍でその流れが更に加速すると予想されています。『ZARA(ザラ)』を運営するインディテックスが、最大1200店舗の閉鎖と同時に東京ドーム1.4個分の巨大オンラインスタジオの新設を打ち出すなど、ホットな話題も続いています。
注目を浴びる『アパレルEC市場』。コロナ禍が『消費者のEC利用動向』にどのような影響を与えるのかネットリサーチを行いました。下記に結果を紹介します。
コロナ禍によりアパレルEC利用は加速
1049名に「今後アパレル実店舗を利用することは増えると思いますか?減ると思いますか?」と聞いたところ、58%が「変わらない」、38%が「減ると思う」と回答。約4割の人が「実店舗の利用は減ると思う」と回答する結果となりました。
【アパレル実店舗、今後の利用意思】
※n=1049、設問:『緊急事態宣言解除後、マスク着用やソーシャルディスタンスが求められる社会情勢の中で、自分自身がアパレル実店舗で洋服を購入することは増えると思いますか?2020年1月以前(コロナ影響前)と比較して考えてください』
では、「実店舗の利用は減る」と回答した人達は、アパレルの購入頻度を減らすつもりなのでしょうか?下図を見ると、「実店舗の利用が減ると思う」と回答した393名のうち、57%が「ネットでの洋服購入が増えると思う」と回答したことがわかります。半数以上がアパレル実店舗での購入を減らした分、EC利用を増やす意向を示しています。
【アパレルECサイト、今後の利用意思】
※設問:緊急事態宣言解除後、マスク着用やソーシャルディスタンスが求められる社会情勢の中で、自分自身がインターネットを使って洋服を購入することは増えると思いますか?
これは実店舗の利用が「変わらない」と答えた人達の回答と比較して、47ポイントも高く、実店舗の利用を減らした人達がアパレルECサイトに流れる可能性は高いと考えられます。
アパレルで「実店舗の利用は減る」と回答した人はヘビーユーザーに多い
また、「実店舗の利用が減る」と回答した人達の、コロナ以前のアパレル購入頻度を調査したところ、49%が2ヶ月に1回以上、実店舗で洋服を購入していたことがわかりました(1ヶ月1回以上33%+2ヶ月1回以上16%=49%)。
つまり、実店舗の利用を減らしECサイトからの購入を増やすつもりだと回答した人達の約半数が、頻繁に店頭を訪ねて新作をチェックしたり、洋服を探したりすることを好んだ顧客層だということです。これまでのECサイト利用客とはニーズが違う可能性があります。
【今後の実店舗の利用意思別、コロナ前の洋服購入頻度】
※設問:『コロナ情勢前(2020年1月以前)では、アパレル実店舗で洋服を購入する頻度はどれぐらいでしたか?』
今後、アパレルのECサイトで何を購入する予定か
コロナ以前は実店舗での購入を好んだ層は、インターネットで何を購入するのか?今後は実店舗での購入を減らす予定」、かつ、「コロナ以前は実店舗で2カ月に1回以上アパレルを購入していた」と回答した人達(元実店舗ヘビーユーザー)に、インターネットでよく購入するジャンルを聞いたところ興味深い結果がみられました。
それ以外の人達の結果と比較して、「トップス」「ワンピース」「スカート/ズボン」「ジャケット/アウター」とECサイトではサイズ感の判断が難しいアイテムに関して、総じて購入経験が高かったのです(ただし、よりサイズ感が難しいと考えられる「スーツ」については購入経験に差がありませんでした)。サイト上にサイズ選びのサポートを充実させていく必要がありそうです。
【今後の実店舗の利用意思別、ネットで購入するジャンル(複数回答可)】
※設問:『インターネットでよく購入するジャンルを教えてください(複数選択可)』
『アパレルECサイト』についてまとめ
成長が顕著なアパレルEC市場。そのアパレルECサイトを利用する顧客層が、ウィズコロナにおいては少し変化するかもしれないという結果になりました。
すなわち、実店舗で2ヶ月に1回以上アパレルを購入していた層がアパレルECサイトに流れてくる可能性が高いという結果です。そのような「元実店舗ヘビーユーザー」がECサイトに求めることを、サイト運営に反映していく必要がありそうです。