《飲食》ウィズコロナのリピーター獲得策『メニューデザイン』
新型コロナウイルスに対して強い危機感を持っている消費者は、依然として飲食店の利用をためらっています。そんな現在、『ご来店いただいた目の前にいる”お客様”の満足度を高めリピーターになってもらうこと』が今まで以上に重要になっています。
今回のセミナーでは、コロナ禍のリピーター獲得策として、「感染症対策」と「メニューデザイン」の2点を紹介しました。
基調講演は(株)MS&Consulting 山之内郁也が担当、ゲスト講演は(株)メニューデザイン研究所 城山隆二氏です(2020年8月6日開催)。
【コロナ禍のリピート獲得①】感染症対策が大前提
318件の弊社覆面調査結果を分析したところ、お客様が感染症対策に「非常に安心」と感じた場合には60%を超える人が「必ずまた来たい」と答えています。ところが、「不安」と感じた場合は14%に低下します。感染症対策が‟リピート要因”にも‟離反要因”にもなっていることがわかります。
<「感染症対策」が「再来店意思」に与える影響>
※設問:(横軸)感染症の心配なく店舗を安心して利用できると感じましたか/(縦軸)また来たいと思われましたか、調査期間:2020年5月8日~6月18日、調査方法:覆面調査、対象:飲食店、n=318
では、どのような時にお客様は「非常に安心」と感じるのでしょうか?上位5項目は下図の結果となりました。
<お客様が非常に安心と感じる項目>
※対象:飲食店、調査方法:覆面調査、調査期間:2020年5月8日~6月18日、n=318件
上記5項目のうち、「スタッフからの感染症対策の説明があったか」「スタッフからの消毒液の案内があったか」などは、スタッフから積極的に働きかける感染症対策です。これができていない店舗が多く、言い換えると、差別化につながる可能性がある取り組みです。
【コロナ禍のリピート獲得②】メニューブックを最大活用する
「スタッフが説明しなくても売りメニューの魅力が伝わるメニューブック」や「満足度の高いおすすめ商品を注文してもらえるメニューブック」、自社のメニューブックのデザインをそんな風に改定できればお客様満足度は確実に上がります。メニューブックを「備品」と捉えず「お客様への広告媒体」と考えるのです。
『メニューデザイン』によってできることを見ていきましょう。
① 顧客満足度向上
「選びやすいメニューブック」「楽しいメニューブック」は顧客満足度を高める。また、高い評価の商品へ誘導することで顧客満足度を高めることができる。
② 原価低減・客単価向上
出数のコントロールをすることで、「原価低減」「客単価向上」「食材ロスの削減」を期待できる。
③ 接客オペレーションの効率化
オーダーテイクの時間短縮が可能。また、スタッフのスキル不足や混雑状況でばらつきがちな商品説明のサポートツール・代替ツールにすることも可能。
④ お店のブランディング
デザインを工夫すれば「お店のこだわり」や「商品の魅力」をお客様とスタッフに伝えることが可能。
このように『メニューデザイン』には様々な効果が期待できます。具体的な改善事例を紹介します。
【改善前】
【改善後】
このように『メニューデザイン』は戦略的なツールになり得るのです。自社のメニューブックを下記4つの視点で改善点がないか、今一度見直してみて下さい。
まとめ
本セミナーでは、コロナ禍におけるリピート獲得策を2つ紹介しました。
1.感染症対策が大前提。不安評価ではお客様が離反。
2.接客に距離が必要な今だからこそ『メニューブック』を最大限に活用する。
この大変な時期を乗り越える1つのヒントになれば幸いです。
文:菅原大