塚田農場プラス

「MSナビ」で課題と目標がわかる! 売り上げV字回復の肝はサービスと意識の改革

株式会社塚田農場プラス


取材:古川卓磨、編集:宮本紗和
※記載されている会社概要や肩書き、数値や固有名詞などは取材当時のものです。

塚田農場で有名なエー・ピーカンパニーのグループ企業である、株式会社塚田農場プラス。塚田農場らしい生産者の顔が見える素材を使用した弁当事業で存在感を放つ同社は顧客満足度調査「ミステリーショッピングリサーチ」(以下、覆面調査)と従業員満足度調査「tenpoket(テンポケット)」(以下、ES診断)の導入により、一時的に落ち込んだ売り上げをV字回復させた。問題分析と回復戦略はどのようなものだったのか? 代表取締役森尾太一氏、塚田農場OBENTO&DELI・ecute品川サウス店長 神田恭兵氏に、店舗での取り組みと成功の秘訣を伺った。

急激な売り上げの落ち込みを回復させること。それが急務でした。

--サービス導入のきっかけを教えてください。

森尾氏:オープン以来順調だったecute品川サウス店の売り上げが、18年1月から急激に落ち出したのです。実は18年1月は、店長が変わったタイミングでした。商品の変更はなく、乗降客の多い品川駅構内という売り場の特性から鑑みても、売り上げが減少した要因は“人”なのではないかと考えられました。なかでも特に、呼び込みと接客の影響が大きいのではないかという仮説のもと、お客様からの具体的な評価を知るために覆面調査を導入しました。また、店長が変わった事によるESの状況を知りたかったこともあり、ES診断も併せて導入しました。


--当時、実際の店舗はどのような雰囲気でしたか?

神田店長:私は18年7月に赴任し、8月から店長として勤務していますが、当初はスタッフが楽しくなさそうに働いていました。特にベテランスタッフ側に不満が溜まっていて、勤務歴が浅いスタッフに関しては、どうすればいいかわからない、もしくは逆になんの危機感も持っていないという状況で、決してまとまりは良くありませんでした。

森尾氏:それはES診断の結果にも現れていましたね。ベテランスタッフと新しいスタッフの間で大きく意識が違っていて、前任の店長がいわゆる放任主義だったこともあり、教育が不十分という診断結果でした。

お話をお伺いした、代表取締役森尾太一氏(右)、塚田農場OBENTO&DELI・ecute品川サウス店長 神田恭兵氏(左)。


MSナビを活用し、全員を巻き込んだ意識改革をおこないました。

--まずはどのような施策をおこなわれましたか?

森尾氏:神田を含めた2名の社員を配属し、常にモチベーションを保てる環境を作りました。モチベーションの高いスタッフがそうでないスタッフを巻き込んでいく環境にするために、なるべくアルバイトスタッフだけの時間を作らないようにする思惑です。

店舗ルールも明文化しました。それまでスタッフが挨拶や返事をしない、黙って休憩に行く、ということもあったのですが、はっきりとルールを示したことで教育もしやすくなったようです。

ES診断の結果がきっかけになり、このような戦略が立てられたと思います。


スピード重視の接客から、第一印象を意識した丁寧な接客へ

森尾氏:MS&Consultingさんの覆面調査で蓄積したビッグデータと当社の調査データから、入店時の第一印象が再来店と高い相関関係にあることがわかりましたので、入店前・入店時(売場へ近づいて来られる瞬間)の接客に対する強化を本部として重視しました。

神田店長:具体的には、私が赴任してから、スピード重視だった接客スタイルを丁寧にゆっくり接客する方針に変えました。覆面調査の結果を共有できるアプリ「MSナビ」でお客様のコメントを読み、スピード最優先にすることが実はお客様の満足度を減らしていると感じたためです。実際、赴任した当初は、サービスのスピードが早過ぎることでお客様の滞在時間が非常に短く、周辺の競合店には人だかりができているのに、当店にはお客様が集まらない状況でした。

接客段階と「再来店意思」の関係|覆面調査の項目「再来店意思(また来たいと思いましたか?)」と接客段階別の設問項目の相関図。5点満点と4点で最も差が見られたのは「入店時の印象」であることから、再来店につなげるには、来店時の対応を上げることが重要だとわかる。


その状況から、まず私自身で呼び込みをしてお客様を集め、丁寧な接客でお客様の満足度を上げていくことをスタッフに見せていきました。印象の強い看板メニューに絞って呼びかけることで効率よく人を集められることや、呼び込みで実際に人が集まると伝わったことで、今ではお客様に来てもらうために声を出して呼び込みをする、という意識に変わったようです。

売上昨対比推移|入店前・入店時(売場へ近づいて来られる瞬間)の接客を強化した翌月8月には昨年対比94%まで回復し、18年12月以降100%を超えるようになった。


星取表で1時間ごとの売り上げ目標を共有する

神田店長:次に星取表の導入です。売り上げを意識してもらうために、1時間ごとに売り上げ目標を設定し、星取表として貼り出しています。

売り上げ目標=発注数ですので、目標に到達していない場合、その数字は食べ物の廃棄を意味します。食品ロスを減らすことと売り上げを意識してもらうという2つの面でスタッフの意識改革をおこないました。

星取表を導入することで、今まで「ロスがゼロだと発注数を増やされて大変だからあえてロスを出す」という悪しき習慣を、「頑張って目標まで売る」という意識に変えることができたと思います。

星取り表


MSナビを活用した、スタッフとの密なコミュニケーション

神田店長: MSナビの閲覧と気づきの提出が、凡事徹底としてスタッフに浸透していることもポイントだと思います。店舗のグループLINEでMSナビのレポート結果を毎月共有し、振り返りを書き込むのですが、スタッフたちもそれに対してコメントをくれるなど意識は確実に上がっており、気づき提出率は実質100%です。

MSナビを活用することで、それぞれが自身の振り返りを繰り返すことができ、課題が持て、接客力や店舗の力が上がったと感じています。


--MSナビ閲覧率も気づき提出率も、大変高い数字が続いているのが驚きです。売り上げが回復したのはいつ頃ですか?

神田店長:18年8月には昨年対比94%まで回復し、18年12月に完全に回復しました。それからはずっと昨年対比を超え続けています。

MSナビの結果を見ると「スタッフが丁寧だった」とか、「笑顔だった」というものばかりです。お客様が求めているものはスピードではなく、人としての丁寧な接客でした。

もちろん、それが得意なスタッフもいればまだまだ苦手なスタッフもいますが、今後はその差をなくし、もっとレベルアップした店舗を目指したいですね。

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