オーダーシステムのデジタル化、消費者はどう思っている?
タッチパネルや自身のスマホで注文する「オーダーのデジタル化」。元々「スタッフの業務負担軽減」「人件費の削減」といった文脈で拡がっていましたが、コロナ禍では「スタッフと顧客との接触回数を減らす」という意味でも注目が集まっています。一方で「顧客自身のスマホを使わせると嫌がられるのではないか」「面倒だと顧客が離れてしまうのではないか」という懸念点もあるかと思い、一般消費者は正直どう思っているのかを、調査してみました。
※2020年9月30日~10月5日に調査実施(n=823)
※性別、年代、エリア(1都3県、それ以外)がほぼ均等になるように調査実施。
- オーダーシステムのデジタル化に対して一般消費者は概ね好印象を持っている
- 20代は特に好印象の比率が高く、抵抗がある層は少ない
- 一方で女性や40代の方は他と比べて抵抗感の強い層が多い
1.オーダーシステムのデジタル化は概ね好印象
注文の際「テーブルに備え付けのメニューを見る」「スタッフを呼んで直接伝える」といった従来の方法でない場合、一般消費者は好印象を持つのか、それとの抵抗感があるのか、はたまた特に何とも思わないのかを以下の3パターンで調査しました。
- タッチパネルでオーダーする
- 自分のスマホでメニューを見る
- 自分のスマホで注文から会計まで行う
その結果、いずれの場合も「好印象がある」または「好印象でそのお店に興味が増す」と答えた人の方が「若干抵抗がある」または「若干抵抗があり足が遠のく」と答えた人よりも多くなっていました。このことから「オーダーシステムのデジタル化に対して一般消費者は概ね好印象である。」と言えます。
特に自分のスマホを使う場合、ただメニューを見るだけではなく「注文や会計まで一気通貫でできる」ことの方が好印象になる、という結果になりました。
図1 「タッチパネルでオーダーする」に対する回答分布
※設問:「タッチパネルでオーダーするお店」に対してどのような印象を持つか最も近いものを1つお答えください。
図2 「自分のスマホでメニューを見る」に対する回答分布
※設問:「自分のスマホでQRコードを読み込んでメニュー見るお店」に対して、どのような印象を持つか最も近いものを1つお答えください。
図3 「自分のスマホで注文から支払いまで」に対する回答分布
※「QRコードを読み込み、メニュー見て注文から支払いまで自分のスマホ1つでできるお店」に対して、どのような印象を持つか最も近いものを1つお答えください。
2.女性よりも男性、40代以上より20代、30代でデジタル化に対する抵抗感は少ないが、その差はそれほど大きくない
今回の結果の中でも「若干抵抗がある」または「若干抵抗があり足が遠のく」の回答があった比率を年代別、性別で比較しました(図4、図5)。その結果、女性よりも男性、40代以上よりも20代、30代で抵抗感が少ないという傾向がありました。
しかし、女性や40代以上において抵抗感がある人の方が多い、というわけではなくその差はそこまで大きくありませんでした。
一方「好印象がある」「好印象でそのお店に興味が増す」と答えた人の割合を見ると、2,30代では「自分のスマホで注文から支払いまで」できることに対する好印象の比率が40代以上よりも10pt以上高くなっていました。このことから、特に30代以下をターゲットにした業態においてはこういった投資が集客面でも効果がある可能性があります。
図4 性別の"抵抗感がある"比率の比較
※設問「以下の注文方法のお店に対してどのような印象を持つか最も近いものを1つお答えください」に対して「若干抵抗感がある」もしくは「若干抵抗感があり足が遠のく」と回答した比率
図5 年代別の"抵抗感がある"比率の比較
※設問「以下の注文方法のお店に対して、どのような印象を持つか最も近いものを1つお答えください」に対して「若干抵抗感がある」もしくは「若干抵抗感があり足が遠のく」と回答した比率
図6 年代別の"好印象がある"比率の比較
※設問「以下の注文方法のお店に対して、どのような印象を持つか最も近いものを1つお答えください」に対して「好印象がある」もしくは「好印象がありそのお店に興味が増す」と回答した比率
3.感染症対策と生産性向上の両面でニーズは高まっていく
今回は「感染症対策」という文脈の中で調査を行いましたが、「オーダーのデジタル化」は元々「ホールスタッフの業務負荷を減らす」「人件費の削減」といった目的で開発されてきたシステムでした。そういった「生産性を向上させる」という役割の重要性は、このコロナ禍においてさらに高まっています。今後「感染症対策」と「生産性向上」の両面で注目が高まっていくことは間違いないと考えられます。
MS&Consultingでは今後も消費者意識調査を行い、感染症対策と経済活動の両立させるためのヒントとなる基礎データをタイムリーに発信していきたいと考えております。