catch-img

「オンライン接客」、消費者はどのぐらい使っている?

現在多くの企業が「オンライン接客」をスタートさせています。感染症対策という側面もありますが、店舗に行かなくても専門知識を持ったスタッフに相談できるという点から、今後の展開に注目が集まっています。オンライン接客について一般消費者はどう感じているのかを、ネットリサーチを用いて調査してみました。

※調査日:2021年2月20日~22日(n=837)

今回のポイント


  1. 全体の約2割が「オンライン接客」を受けたことがある
  2. 利用経験が多かったのは「保険の加入・見直しの相談」、男性は「新車ディーラー」女性は「ヨガ・ピラティス」も比較的多かった
  3. 年代別では、20代は「不動産(賃貸)」が最も多く、30代と50代では「銀行(投資信託・資産運用の相談)」3番目に多かった


1.全体の約2割が「オンライン接客」を受けたことがあり、20代、30代で比較的その割合は高くなる

「オンライン接客(ビデオ通話などオンライン上で相手の顔を見ながら接客が受けられるサービス)を実際に受けたことはありますか?」という質問に対して、「何らかのオンライン接客を受けたことがある」と答えた人は全体の20.2%となっており、約5人に1人がオンライン接客を体験したことがあるということが分かりました。


図1 「オンライン接客を受けたことがあるか」に対する回答分布

※設問:あなたは「オンライン接客サービス(ビデオ通話など、相手の顔を見ながら接客が受けられるもの)」を実際に受けたことがありますか?


次にこの傾向が年代別、男女別で異なるのかどうかを確認してみました(図2)。結果、「オンライン接客を受けたことがある比率」は、男女別ではあまり差がありませんでした。しかし、年代別では20代30代と比較して40代50代の方がオンライン接客を受けたことがある割合は低くなっていました。


図2 「オンライン接客を受けたことがある比率」年代別、男女別比較

※設問:あなたは「オンライン接客サービス(ビデオ通話など、相手の顔を見ながら接客が受けられるもの)」を実際に受けたことがありますか?


2.最も利用したことがある人が多かったのは「保険の加入・見直しの相談」。男性だと「新車ディーラー」女性だと「ヨガ・ピラティス」の利用経験も比較的多かった

「利用したことがある」と回答した人が具体的に利用したことがあるサービスを聞きました(図3)。その結果「保険の加入・見直しの相談」を選んだ人が最も多く全体の4.8%、次いで「ヨガ・ピラティス」「フィットネス・筋トレ」といったフィットネス系のサービスが続きました。

男女別で比較すると「保険の加入・見直しの相談」が多いことは共通していましたが、男性は「新車ディーラー」女性は「ヨガ・ピラティス」の利用比率が高くなっていました。


図3 利用したことがあるオンライン接客の比率ランキング(全体)


図4 男女別の"利用したことがあるオンライン接客"の比較



3.年代別では20代は「不動産(賃貸)」が最も多く、30代と50代では「銀行(投資信託・資産運用の相談)」が3番目に多かった。

年代別に「利用したことがあるオンライン接客」の利用比率TOP5を比較してみると以下の表のようになりました(図5)。

20代では「不動産(賃貸)」がトップとなっており、このコロナ禍で引っ越しをする時の家探しをオンラインで行った人が多い結果となっていました。また、20代と30代では「アパレルショップ」のオンライン接客を受けたことがある人が多いのも特徴的です。

「銀行(投資信託・資産運用の相談)」も30代と50代では3番目に多く、40代でもTOP5には入りませんでしたが6番目に多くなっていました。


図5 年代別「利用したことがあるオンライン接客」TOP5


4.オンライン接客に対するお客様の意見は?

オンライン接客を受けたことがある人に「具体的にどのような場面でオンライン接客を利用されたのか教えて下さい」と聞くと、以下のようなシーンでオンライン接客が利用されていました。

・産院のマタニティヨガをオンラインで受けました。(20代女性)
・結婚式の打ち合わせをリモートで行った。(20代女性)
・不動産購入時の重要事項説明、区分マンションの賃貸しに関する重要事項説明(40代男性)
・投資信託の契約期間満了で更新する際、相談方法がオンラインのみであったため。また、車の買い替えを考えている時に中古車でよい在庫を見つけたが遠方だったため、オンライン商談をお願いした。(50代男性)
・引っ越しの見積もりをオンラインで受けました。楽でした。(20代男性)


一方、オンライン接客を受けたことが無い方にその理由を聞いてみると、多くは「オンライン接客を受ける機会が無かった」と答えていたのですが、それ以外にも以下のような理由が寄せられました。

・オンラインは分かりにくいと思うので。(50代女性)
・オンラインにしてまでどうしても必要なものが今のところないため、わざわざオンラインで受けようとは思わないです。(30代女性)
・オンライン接客はコミュニケーションが難しそう。(30代女性)
・対面よりも質が落ちそうだと感じるため。(30代男性)
・保険の加入・見直しの相談の機会があったが自ら対面式を選択した。今回は見直す前提で接客を受け、実際に変更契約を結んだのだが、リモートだと途中で私自身の熱量が冷めて契約見直しが実現しないと思ったためオンラインを選択しなかった。(20代男性)


「感染症対策」という文脈の中でも注目を浴びるようになってきたオンライン接客ですが、お客様のコメントを見るとまだ改善余地が大きそうです。今後は「オンライン」と「実店舗」それぞれの強みを分析・把握した上で、「オンライン接客だからこそ」の強みを強化していくことが、‟オンライン接客を当たり前"にするためには必要そうです。

文責:株式会社MS&Consulting チーフデータサイエンティスト 錦織浩志

オンライン接客調査―資料DLバナー

新着の記事