はじめての「RPA」 ◆データサイエンティストが解説!◆
巷でよく耳にするようになったテクノロジーや統計にまつわる用語。でも今さら聞けない…
このコラムでは、そんな用語をどちらかというと「分かりやすさ重視」で解説していきます。
※そのため、厳密には若干正確でない部分も含まれるかもしれませんが、概ね正しい解釈ができる表現に努めています。
今回は「RPAってなんだっけ?」「何ができるんだっけ?」について解説します。
そもそもRPAって?
そもそもRPAってなんだっけ?というところからお話していきます。RPAはRobotic Process Automationの略です。略さないで書いたからといって、それが何か分かるわけではありませんが、「ロボット」「プロセス」「オート」という単語が並んでいるのは分かると思います。これら3つの単語から、「作業をロボットがやるのかな」とか「作業が自動的に実行されるのかな」ということが予想できるかと思います。
実際その認識はほぼ正しいです。つまり、RPAとはパソコンでの作業を自動化する道具のことです。決められた作業を決められた通りに実行してくれる、ありがたいやつなのです。
RPAはどんなふうに使えるの?
先程RPAは決められたことを決められた通りに実行してくれると書きました。ということはつまり、RPAに実行させる作業を具体的に決める必要があるということです。しかも作業を最小単位で決めてあげなければいけません。
感情もなければ忖度も一切しない、だけど指示されたことは指示された通り忠実にこなすロボットに業務を教えられるかということが重要です(というよりこれが全てです)。
RPAの向き不向き
究極的には「パソコン上で行えるすべての作業はRPAに代替させることができる」ということなのですが、RPAにも向き不向きがあります。簡単な考え方は「1回あたりの実行時間×実行回数」が大きければ大きいものほどRPA化に向いているというものです。
図で説明します。図では分かりやすくするため「RPA化」を「ロボ化」と表記しています。
【RPA化が向いている場合】
パターン①:ロボ作成工数 < 手作業の総工数
これは非常にわかりやすいですね。RPA作成工数と手作業による工数の差が大きければ大きいほど、RPA化する優先順位が高いということになります。
パターン②:多くの作業の共通する要素になる場合
これもわかりやすいですが、共通する作業を特定するのは意外と大変です。そもそも、共通する作業が含まれているであろう作業をピックアップしていくことが大変です。なぜなら、「似ている」ではダメで「一致」していないといけないからです。つまりは予想の段階で作業を明文化しなければならないのです。
ただ、例えば「自分宛てにメールを送信する」や「●●のサイトから現時点のデータをダウンロードする」「フォルダを新規で作ってPDFを保存する」といった「よくやる作業工程」を作っておくと、今後色々なロボの”一部”として使っていくことができるので「結果効果的だった」ということにもなります。
※図の「手作業」と書いてある部分が共通の作業要素です。
【RPA化が向いていない場合 】
パターン③:ロボ作成工数 > 手作業の総工数
RPA化するコストよりも、手作業でやった場合の方がコストが低いのであれば、RPA化せずに手作業でやった方がいいでしょう。
パターン④:仕様変更の頻度が高い
これは意外とあるパターンです。仕様変更が多いためにRPA化まで持っていけないものも少なくないと思います。仕様変更が多いということはそのたびにロボを作り直し、テストしさなければいけません。
※図の横に出っ張っている三角形が変更箇所というイメージです。
これが意外と多い。アンケートの集計を自動化しようと思ったが、
前回比だけでなく前々回比も入れて欲しいと言われた
全社平均だけでなくエリア平均も入れて欲しいと言われた
といった「仕様変更」が起こると、都度ロボを作り直さないといけなくなってしまうので、ある程度作業工程が安定した業務から「ロボ化」をするのがおすすめです。
Let’s Try RPA!!
ここまで色々紹介してきましたが、まとめます。
RPAとは? → パソコン上の作業を自動化する道具
どう使うのか? → 1から100まで作業を細かく決めてあげればOK
RPA化に向いていること → 「1回あたりの実行時間×繰り返しの実行回数」が大きければ大きいほどRPA向き
という3点を覚えて頂けたらなと思います。
最後にもう一つ重要なことは、自動化とは標準化の後に行われるものだということです。なので、RPAによっていきなり自動化するのではなく、まず標準化することが必要になってきます。
作業の標準化とはざっくり言うと、誰がやっても高い品質を維持することができる手順のことです。つまり、作業を最小単位に細分化して、その手順に従っていれば作業者が何も考えていなくても実行できてしまう状態にしてしまうのです。
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何も考えずにできてしまうのであれば、別に人間がやらなくてもいいんじゃない?
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そこで登場するのがRPAによる自動化というシナリオです。
ただ、この「何も考えずにできてしまう」と思っていたことが、いざ業務フローを棚卸ししてみると実は作業者の経験値による判断が入っていたり、例外の対応や予想外の分岐があったりします。しかし、こういった業務の棚卸しを行うことによって属人性を排除することが自動化への第一歩になります。
ちなみに、私たちの会社では「Robo-Pat」という製品を使っています。ホームページには動作のデモ動画などもあるので、興味のある方はこちらを見ていただくのも良いかもしれません。
おまけ:人工知能とRPAは違うの?
RPAとAIは同じものですか?という疑問をちょこちょこ耳にしたので補足します。結論から言ってしまえば、RPAとAIは全くの別物です。ものすごく端的に違いを説明すると、
・RPAは作業の自動化が本質
・AIは統計的な推測(データからの予測)が本質
というところになります。
次回は「AI」について解説します!