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新型コロナウイルスに関する消費者意識調査【2020年6月】

新型コロナウイルス(以下COVID-19)と共に生きることになり、サービス業界では厚生労働省や各種業界団体から提示された「新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」に沿って“新しい生活様式”への対応と営業との両立という挑戦に取り組むことになりました。その中で、「接客と感染症対策のバランスに悩む」「どのような対策がお客様に安心感を与えるのか」といったお悩みを聞くことも増えました。

一般消費者の調査パネル51万人を持つ株式会社MS&Consultingは、そのようなサービス業界の皆様にとって「お客さま持つ“今”の感覚」をネットリサーチにより継続的に把握し、その挙動を社会へ発信していくことは有意義であると考え、無料レポートとして継続的に公開していくことにしました。

感染症対策と経済活動を両立させ、サービス事業者の皆様に役立つ情報をタイムリーに発信していきたいと考えております。

期間  … 2020年6月17日~6月23日
回答数 … 823名
※性別(男女)、年代(20代、30代、40代、50代以上)、エリア(1都3県※、それ以外)がほぼ均等になるように調査を行いました。

1.COVID-19に対する強い危機感は確実に下降しているが、未だ約8割の人は不安を感じている。

この調査に先立ち、緊急事態宣言が全国に拡大する直前(4/14)と緊急事態宣言が39県で解除された直後(5/15~16)におけるネットリサーチにて「コロナウイルスに対する危機感をどの程度感じていますか?10段階でお答えください」という設問で調査を行っていました(図1)。それらの調査と比較して今回の結果を見ると、

  • 危機感の平均値は確実に低下傾向にある。特に10点満点で10点をつける「非常に不安」の割合は前回から10pt低下している。
  • 一方「どちらともいえない」よりも高い点数を付けている、少しでも不安を感じている層については、まだ8割弱存在している。

ということが分かります。


図1 COVID-19に対する危機感の分布



「コロナウイルスに対する危機感をどの程度感じていますか?10段階でお答えください。」に対する回答
1回目:2020年4月14日,インターネットによるアンケートリサーチ(N=375)、
2回目:2020年5月15日~16日,インターネットによるアンケートリサーチ(N=1109)

2.ビュッフェ形式の食事に対しての抵抗感は依然として強い。居酒屋よりもファストフードの方が食事をすることに対する抵抗感は弱い。

 この調査では、店舗を利用するシーンを想定したときに「抵抗を感じるかどうか」を「非常に抵抗を感じる」から「全く抵抗を感じない」までの7段階で下記5問を調査しています。
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【抵抗感を聞いている5つのシーン】

  1. 他のグループと1m以上間隔が空いている場合、”居酒屋”で飲食すること
  2. 他のグループと1m以上間隔が空いている場合、”ファストフード店(ハンバーガーや牛丼など)”で飲食すること
  3. 店内の換気について『ドアの解放はせずに(換気扇など)空調のみで換気をするお店』
  4. 小売店において、様々なお客さまが触れることができる商品を購入すること
  5. ビュッフェ形式のような、複数のお客さまが自分で取り分ける食事形態


その結果が以下の図2になります。「非常に抵抗を感じる」から「どちらかといえば抵抗を感じる」までの合計が最も低かったのは「ファストフード店での飲食」で、同じ聞き方をした「居酒屋」よりも8.5pt抵抗を感じている割合は低くなっていました。

図2 抵抗感のあるサービス利用形態ランキングと回答分布


※日本フードサービス協会のガイドラインにおける「テーブルは、飛沫感染予防のためにパーティションで区切るか、できるだけ2m(最低1m)以上の間隔を空けて」の部分に基づき、ガイドライン上で最低限求められている1mに設定。


一方、圧倒的に抵抗感が強かったのが「ビュッフェ形式での食事」でした(図3)。特に「非常に抵抗を感じる」の割合が他の設問の2倍以上となっており、まだ一般消費者には受け入れられていないことが分かります。いつ頃受け入れられるようになっていくのか、今後の推移が注目されます。


図3 ビュッフェなど自分で取り分ける食事形態に対する抵抗感

「ビュッフェ形式のような、複数のお客様が自分で取り分ける食事形態について抵抗を感じますか?」に対する回答。「利用経験がなくわからない」の回答を除いた回答割合

3.飲食店やテーマパークにおいて、行列には並びたくないお客さまが大半。「行列ができるところには行きたくない」という層も多い。

次に「行列へ並ぶこと」についての意識を飲食店とテーマパーク、2つの業態で聞きました。その結果「行列ができるようなお店にはいかない」「行列ができるようなアトラクションにはいかない」という回答が約4割となっていました。また、それ以外の回答についても「整理券や名簿に名前を書くなどしてなるべく並びたくない」が多数を占めており、行列へ並ぶことへの強い抵抗感が表れています(図4,5)。

しかし今後夏の暑さが本格的になってくると、屋外で待つことは逆に熱中症のリスクを高めます。空調の効いた室内で待ちたいという欲求とのバランスがどう出るのか、今後の推移が注目されます。


図4 行列のできる飲食店では、どのように順番を待ちたいか
「『行列のできる飲食店』に行ったとき、あなたはどのように順番を待ちたいと思いますか?」に対する回答


図5 遊園地やテーマパークでどのように待ちたいか

遊園地やテーマパークで『行列のできるアトラクション』があったとき、あなたはどのように順番を待ちたいと思いますか?」に対する回答

4.マスクをしていても、接客時間が10分を超えると約半数が抵抗を感じるようになる。「マスクをしていれば時間関係なく不安はない」という回答は約3割にとどまる。

また、この調査では「自分もスタッフさんもお互いにマスクをしている場合、対面で接客を受ける時間として不安を感じるもの全て選択してください」という質問をしており、対面での接客において、接客時間の長さはどのくらいの時間から抵抗感が強くなるのかを調査しました(図6)。

その結果、そもそも「マスクをしていれば不安はない」と回答していたのが全体の約3割となっており、その他の約7割についてはたとえお互いにマスクをしていたとしても接客の時間によっては不安を感じる、ということが分かりました。

具体的に不安を感じる時間を見てみると「10秒程度のやり取りでも不安だ」と答えたのが全体の7%弱ですが存在していました。許容できる接客時間が10分以下な層が全体の約半分となっており、特にアパレルや住宅、金融などの業種においてはなるべく簡潔なヒアリングや提案にして、必要以上に接客時間が長くなることを防ぐ必要があることが分かります。


図6 マスクをしている場合に抵抗を感じる接客時間

「自分もスタッフさんもお互いにマスクをしている場合、対面で接客を受ける時間として不安を感じるもの全て選択してください。」に対する回答のうち最も短い時間の回答比率


一方、お互いにマスクを適切付けていれば、接客中に飛沫が飛ぶことはほとんど防ぐことができます。しかしそれでも不安に感じるお客さまが一定数いらっしゃることも確かです。

土木学会 土木計画学研究委員会では新型コロナウイルスに関する行動・意識調査が行われ、その結果を公表しています。その中では一番の問題点として「感染リスクに対する正確な知識を⼗分に有していない」という点を挙げており、事実よりも感染リスクを数千倍過大に評価してしまっている、という調査結果が紹介されています。

各種メディアやSNSなどを通して正しい知識が浸透していけば、この部分に関する認識も今後変化していく可能性があると考えられます。

5.まとめ

緊急事態宣言の解除後、一般消費者が感じる危機意識が以前よりも低下していることは本調査だけでなく、他の様々な調査でも同様の傾向が出ています。しかし、飲食店の利用や対面接客に対する抵抗感など、実際の消費活動に関する部分についての「抵抗感」はまだ根強く残っていました。


COVID-19に対する全体的な危機意識 の減

消費行動に対する抵抗感 の減

実際の消費行動量 の増


がどのくらいのタイムスケールで伝播していくのか、引き続き注視していきたいと思います。

>>今回の分析レポート全体のダウンロードはこちら

MS&Consulting 錦織浩志
MS&Consulting 錦織浩志
東京大学 大学院を修了後、MS&Consultingへ入社。データアナリストとしてビックデータの分析を担当。その知見を活かし、国立研究開発法人 産業技術総合研究所との共同研究の成果として、数々の共著論文を発表。研究テーマ例に「従業員エンゲージメントと顧客満足の関連性分析」「パート・アルバイトの従業員エンゲージメントの特徴」「サービス・ベンチマーキングによるサービス・プロフィット・チェーンの高度化に関する研究(サービス学会BestPaperAward受賞)」など。

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