catch-img

ネットにない“店舗ならではの体験価値”を実現 ◆オルビス 渋谷ヒカリエShinQs店◆ 

東京渋谷にある「オルビス 渋谷ヒカリエShinQs店」は、コロナ禍の影響が非常に大きい立地にありながら新規客数目標を達成。その陰には、計画的な「個店イベントの開催」や「店舗での体験価値」を重視した接客の追及があったと言います。橋本チーフにお話しを伺いました(取材:2020年10月15日)。


取材相手プロフィール


Q.コロナ禍は業績にどのぐらい影響しましたか?

東京の中心地にある当店は5月末まで店舗を閉めていました。再オープン直後の売上は前年5割にも届かず、9月下旬頃からやっと6割程に戻ってきたという厳しい状況です。

現在も短縮営業が続いていて、1番売上をあげていた20時~21時はお店を開けられません。売上を昨年並みに戻すのはしばらく難しいと判断して、将来の売上にも影響する「客単価」「新規客数」を向上することを目標にして頑張っています。「新規客数」は9月には目標達成できるようになりました。


Q.新規獲得のために、どのような事を行っていますか?

全社で取り組むイベントとは別に、自店舗の顧客層にあわせ自店舗で企画・実施する「個店イベント」を定期的に行っています。先月は「アプリ新規登録いただいた方に、あぶらとり紙をプレゼント」に取り組みました。

また、オルビスは通販でも買えるブランドです。お客様に当店のファンになってもらうためには「店舗ならではの体験価値」が大切だと考えています。そのために、接客ロープレは欠かさず取り組む、スタッフの接客を観察してつまづいている箇所を把握する。そういった地道な活動を積み重ねています。


Q.新型コロナによる制限がある中で「店舗での体験価値」を感じて頂くためにどのような工夫をしていますか?

◆表現力を高める◆

店舗で化粧品を買う良さの1つは「実際に肌につけて体験できること」です。ただ、コロナ禍では体験いただけない商品もありますし、お客様にメイクをして差し上げたり、スキンケア製品をおつけして使用感を体験頂くことができません。そのため、どういう言葉でお伝えしたら「使用感がイメージしやすいか」といった表現力をみんなで磨いています。

【取り組み例】


●自分達がスキンケアを使った時の体験談をお客様に伝えられるよう収集。

●サンプル体験100人企画の実施。表を貼り出して何人にお試しいただけたかカウント。

●定期的に実施しているMS&Consulting社の顧客満足度調査の中から『接客項目』を抜粋して朝礼でできているか振り返り。


◆今、できることに集中する◆

例えば、リピート率を高めるために重要な「肌診断機」が現在使えません。でも「できないこと」をなげいてもしょうがないので、「昔は肌診断機なかったよね、なかった時はどうしてたっけ」と伝え、昔のやり方をロープレしています。今できることに集中するようにしています。


◆初めてのコロナ対応はその場で話し合い◆

当店は入店制限をかけていて、スタッフも含め店内に7名程になるようにコントロールしています。でも接客時間は短縮したくありません。そこで「短縮してもお客様の満足度に影響しないところ」に絞って効率を追求しています。今注力しているのはレジ時間の短縮です。

ただ上手くいかないことも多い。そこでお客様が店内にいらっしゃらなくなったらすぐに集合して「もっとこうしたらいいんじゃない?」「今回は時間がかかった、どうしてこうなったのか?」といった話し合いをしています。経験のない事態です。取り組み方に正解はないので小まめなコミュニケーションを大切にしています。

打合せ・写真



Q.緊急事態に対応できているのはスタッフが一丸となっているからだと感じました。店長として1番大事にしていることは何ですか?

「全員に何かしらお店づくりに携わってもらうこと」です。

当店には、接客や清掃などの『日常業務』以外に、店舗ディスプレイ、販促企画の立案といった『お店づくり』の仕事があります。この『お店づくり』に全員に関わってもらうようにしています。長い目で見た時に、その方がショップにお客様がついてくれるというのが実感です。

例えば、店舗ディスプレイを任せたとします。すると、現在のディスプレイに対するお客様の反応を拾ったり、自店のディスプレイについて深く考えることになります。その経験が視野を広げ、良い方向にいきてくるのだと思います。


Q.どのように任せる仕事を決めているのですか?

「スタッフの希望を聞くこと」から始まります。半年に1回、スタッフ1人ひとりに「自分の得意分野と苦手分野」を発表してもらっています。その時スタッフが‟自分の得意分野“と発表したところは自信を持って取り組める分野、そこに近い仕事を任せることが多いです。

また、月に1回は1対1のミーティングを1人60~90分かけて行い、スタッフへの理解を深めるように努めています。時間はいくらあっても足りないぐらいですが優先的にスケジュールを組んでいます。


Q.まず「スタッフの理解」から始まるのですね。その後はどのように任せる仕事を判断しますか?

「ちょっと頑張ればできるライン」に任せる仕事を設定することも大事にしています。「当店には任せた当初は不安になるスタッフが多い」「成功することで楽しみが生まれてくる」といった理由からです。

例えば、新人スタッフには店舗ブログの執筆を任せました。オルビスや商品についての知識がつきますし、当店の特徴についても理解が深まるからです。先日「ブログを見て来店しました」というお客様がいらっしゃって、その子のモチベーションにもつながっていました。

最初から上手く任せられない事は多いです。任せ過ぎてスタッフを不安にさせてしまったこともあります。スタッフの様子を観察したり、話しを聞くことを重ねる中で軌道修正を行い、段々良い任せ方になるという感じです。



Q.スタッフとの会話時間をとても大切にされています。時間の作り方にポイントはありますか?

本人にスケジュールを調整してもらうことです。

店長である私が関わることはシフト作成時にスケジュールを調整してしまいますが、それ以外に必要なミーティングや作業時間はスタッフが自分でスケジュール依頼するようにしてもらっています。以前は私が調整していたのですが、スタッフに調整してもらうことでスケジュール管理が圧倒的に楽になりました。

「締め切りまでの段取りを逆算できるようになってきた」「〇〇さんとこんなことをしたいといったアイデアを自発的に言ってくれるようになった」といった嬉しい反応も生まれました。

スケジュール管理・写真


Q.今後に向けて考えていることを教えて下さい。

あせらず1年かけてみんなの課題を伸ばしていきたいと思います。私の場合、まずは本人の気持ちを聞くところから始まります。あせらずゆっくり1年かけてで良いと思っています。


ありがとうございました。


関連記事画像


  • 取材日: 2020年10月15日
  • 取材・文:  株式会社MS&Consulting 児玉彩子
  • 掲載情報は2020年10月現在のものです。
MS&Consulting 徳野朱音
MS&Consulting 徳野朱音

株式会社MS&Consultingに入社後、ベーカリーや菓子等の食物販業界、化粧品業界を中心に顧客満足度・従業員満足度調査を切り口にしたコンサルティングを担当。ホスピタリティコーディネーターとして、ホスピタリティの啓発、普及に努め、研修やセミナーを行なっている。

もっと知りたい方はこちら

メルマガ会員登録ご案内バナー